「終活でやっておきたい10項目」
1、エンディングノートの作成
終活を何から始めていいのか分からない方は、まずは、終活の基礎となるエンディングノートを書くことから始めましょう。
エンディングノートとは、自分が亡くなった後や、病気などにより意思疎通が困難になったときに備え、家族にかかる負担を減らすために、健康なうちにご自身の希望や想いを整理し、事前に家族やまわりの人々に伝えたいことを書き留めておくノートや手紙のことをいいます。
書き残しておく内容は、ご自身のプロフィールや健康状態、延命措置や検体をしたいかどうかといった医療面のことや、介護の方法、葬儀やお墓についての希望、その他気がかりなことなどを記載します。
もちろん、家族やお世話になった人々に対し、感謝の言葉や最後に伝えたいことなど忘れずにメッセージとして残しましょう。
※文字や写真、動画として残しておくのもいいでしょう。
エンディングノートは最初から全ての項目を記入しようと思わず、少しずつ書けるところから書き始めていきましょう。
エンディングノートを書くことで、自分が伝えたい思いや終活ですべきことなどが自然に分かってきます。
なお、エンディングノートの存在と保管場所は、ご家族に知らせておくことを忘れてはいけません。
2、遺言書の作成
ご自分の死後に、遺されたご遺族同士が遺産などの相続問題で争わないためにも、自分の死んだあとの財産の処分やその他のことについて「遺言書」を作成しておくことは大切です。
遺言書が無い場合や、遺言書があっても一部の財産の遺産の分割方法しか書かれていない場合などは、遺産の分割方法は法律で定められている法定相続分の優先順で分割されます。
※優先順は、配偶者、次に配偶者以外では、子供、親、兄弟姉妹の順番になります。
そこで、ご自身の遺産を希望通り分配したい場合は、遺産分割で最も優先される「遺言書」を作成し残しておくことが大切です。
遺言書は、書き方が法律で決まっており、書き方を間違うと遺言書として認められなくなってしまい遺言が実行できなくなりますので、弁護士などの専門家に相談しながら作成することをおススメします。
なお、遺言書を作成した場合、『遺言書を残していること』をご家族が知らないと、折角作成した遺言書の内容を実行することができませんので、エンディングノートと同様に、ご家族に『遺言書の存在』と『保管場所』、弁護士に依頼しているなら『依頼している弁護士の存在』を忘れずに伝えておきましょう。
3、お墓の準備
終活の一環として必ず考えなければならないのは、自分が入るお墓のことです。
あなたが突然お亡くなりになった場合、お墓の準備は遺されたご家族にとって、大きな負担となります。
先祖代々のお墓に入られる方や、すでにお墓を準備している方は結構ですが、未だ入るお墓の準備をされていない方は、生前にご自身の入るお墓を準備されることをおススメします。
ご自身が生きているうちに建てるお墓を「生前墓」と言い、古来より中国では「寿陵(じゅりょう)」と呼ばれ、縁起の良いこととされてきました。
生前にお墓を準備することで、時間的な余裕があるため、墓地のタイプや場所の選定、石材選びやお墓のデザインなど、ご自身が納得できるお墓を準備することができます。
また、生前に建てられたお墓は「祭祀財産」となるため、相続税が免除されるので、節税対策にもなります。
なお、生前に墓を準備することは様々なメリットがありますが、交通のアクセス面や「バリアフリーになっているか?」など、将来ご家族がお墓参りに来る際に不便が無いように細かく想定してチェックすることが大切です。
さらに、トイレや休憩所などは清潔に保たれているか?など、管理状態や管理・運営する事業主体の経営状態も確認しておく必要があります。
もし、お墓を継承してくれる方がいない方は、継承者の代りにお寺や霊園の管理者が永代に渡って供養と管理をしてくれる「永代供養」のお墓もありますので、そちらのご利用をご検討なさってみてください。
4、葬儀の準備
葬儀の準備も、終活として是非やっておきたい大切なことの一つです。
葬儀の準備は、遺されたご家族にとって短期間で非常に多くのことを選択・決定しなければならず、心身ともに大きな負担となってしまいます。
そうならないために、ご自身が希望する葬儀の形式や規模、参列して欲しい人のリストなど、事前に決めてご家族に直接伝えておくか、「エンディングノート」に書き残しておくだけで、遺されたご遺族の葬儀の負担が大幅に軽減されます。
最近では、生前の元気なうちにご自身で葬儀を契約される、生前契約(予約)をされる方が増えているようです。
葬儀を葬儀社に生前予約しておくことで、遺されるご家族の葬儀に関する負担を大幅に軽減することができますし、本人の希望通りの葬儀をすることができます。
また、時間が限られているわけではないので、葬儀の内容や費用面などじっくり検討することが可能となります。
なお、葬儀を生前予約した際は、頼んである葬儀会社のことや葬儀の内容など、生前ご家族に伝えておくことも必ず忘れないようにしてください。
※葬儀の生前契約時に料金を前払いする場合は、葬儀会社の倒産などのリスクがありますので、葬儀後に支払う契約にするか、もしくは葬儀信託制度を利用するのが安心です。
5、生前整理
自分が他界した後に、遺されたご家族が遺品の整理で苦労したり、相続問題や自宅問題などで困ったり争ったりしないように、生前の元気なうちに財産や住空間や持ち物などで不要なものを整理して生前整理
をしておきましょう。
生前整理で、不要な荷物などを整理し生活スペースが改善されることで、思わぬ怪我など防げますので、安全で健康的な老後生活を送ることができます。
生前整理は物品だけではなく、デジタル遺品(パソコン・スマートフォンのデータ、SNSのアカウント、電子口座など)も忘れず整理しましょう。
また、「義理のお付き合い」をしているような人間関係も整理することで、不要な気遣いや無駄な交友費など負担を軽減することができます。
『生前整理』の作業は1人やご夫婦でやられる方が多いと思いますが、家族と一緒におこなうことで思い出や家族への想いを共有することができますので、ご家族と協力してやられることをおススメします。
また、最近の終活ブームにより、「生前(遺品)整理」の専門の業者も増えてきておりますので、そのような業者に頼むとスムーズに整理することができます。
なお、生前整理をされる際は、お亡くなりになった後にご遺族が困らないように、必要なものは誰にでもわかるように仕分けし保管しておきましょう。
また、生前整理は一気にやる必要は無いので、体力に応じて出来ることからゆっくり時間をかけて行いましょう。
6、介護・医療の備え
あなたが突然お亡くなりになったり、病気で意思の疎通が取れなくなった時に、事前にご家族へ医療や介護について希望を伝えておかないと、ご家族はどうしていいのか路頭に迷うことになります。
そうならないために、ご自身がまだ健康なうちに、医療や介護の希望をエンディングノートなどに記載して残しておくか、直接ご家族に伝えておきましょう。
書き残しておく内容は、介護については、「ご自分で判断ができなくなった時に医療の判断を誰にして欲しいか」や、「誰にどのように介護や介護の判断をして欲しい」か、「介護や見守りなどどうして欲しいか」など、介護についての具体的な希望を家族に伝えておきましょう。
医療については、「余命宣告はして欲しいか」と「延命処置などの看取りをどうして欲しいか」や、「臓器移植」や「検体」など、医療に関してのご自身の意思表示を予め伝えておくことが大切です。
7、終の棲家となる住処の整備&選定
終の棲家をご自宅でと決めている方は、最期までご自宅で快適で安全に過ごせるようにするためには、バリアフリーにする必要があります。
そのために、住宅改修(住宅リフォーム)が必要な場合は、介護保険から住宅改修費を20万円まで支給してくれる「高齢者住宅改修費用助成制度」という介護サービスがありますので、ご利用をご検討してみて下さい。
ご自宅が賃貸住宅だったり、ご自宅が自己所有でも介護でご家族にご迷惑を掛けたくないとお考えの方は、元気なうちに老人ホームなどの高齢者向け施設への入居を検討しましょう。
ご入居を検討される際は、資料を取り寄せて見学などをして、実際にご自身の目で確かめられることをおススメします。
8、老後資金の確保
葬儀やお墓など終活に必要な費用や、老後の生活資金は事前に計算して準備しておきましょう。
十分な貯えが無く年金支給額が低額の場合は、老後資金の用意のために、不動産を所有している高齢者向けの融資制度「リバースモーゲージ」や、都道府県の社会福祉協議会がおこなっている「生活福祉資金貸付制度」などの活用も検討してみましょう。
社会福祉協議会がおこなっている「生活福祉資金貸付制度」は、低所得者や高齢者を支援する福祉の制度で、様々な人々が支援対象となっておりますので、生活に困ったときや将来が不安になったときは、ぜひ、制度の利用について自治体の福祉課にご相談されることをおススメします。
9、シニア保険で終活資金の備えをする
将来、介護が必要になったときの介護費用や、お亡くなりになったときの葬儀やお墓の費用でご家族に負担を掛けたくないとお考えの方が多いと思いますが、現在加入されている保険で保障は十分でしょうか?
最近の50歳以上(商品により40歳以上)の中高年を対象にしたシニア保険は、簡単な手続きだけで加入でき、保障対象も介護に備えるための「介護保険」や、葬儀費用を準備する「葬儀保険」など、従来の保険と比べ保障内容も広がり多種多様化してきております。
そのようなシニア保険へ加入することにより、ご自身に万が一のことが起こった時に、ご家族に大きな負担となる介護の費用や、葬儀お墓購入代などの死後の整理に必要となる資金を確保することが可能となりますので、ぜひ、終活の一環として保険の見直しを検討してみましょう。
なお、「シニア保険」への加入をご検討される場合は、保険商品によって保障の内容や条件面など異なってきますので、1つの保険商品を見て決めるのではなく、複数の保険商品の中から見比べ比較検討されることが大切です。
10、旅行に出かけましょう
旅先で美しい自然や情景と触れ合い、美味しいものを食べたりすることで、ストレスが低下し心の落ち着きを取り戻すことができます。
また、旅行で日常生活から離れ、自分の人生を振り返り、最期の日の迎え方についてなどをじっくり考えることも、終活を進める上で大切なことの一つです。
ここ最近、介護が必要な高齢者が増えているという背景もあり、車椅子で行けるバリアフリー重視のツアーや介護者が同行するツアーなど、介護が必要な高齢者に向けての旅行プランも国内・国外を問わず多く見受けられるようになりました。
また、旅行会社やメモリアム業者などが「終活ツアー」と称して終活体験ができる終活ツアーを多く企画しているようですので、終活を知る上でもそちらのツアーへの参加も検討されてみてはいかがでしょうか。
以上、終活の全てについて、5分で分かるようにまとめてみましたが、いかがでしょうか?
終活はやることが多岐に渡ります。
今後も、『終活のすすめ』では、「終活」について徹底的に解説させていただきますので、定期的にチェックしていただけると幸いです。