葬儀について

もし、あなたが突然お亡くなりになられたら、遺された家族などに大きな負担をかけることになります。

そんなことにならないよう、終活の一環として、葬儀の準備を事前に行っておくことが大切ことの一つとなります。

ここでは、葬儀の事前準備をはじめ、葬儀についてご説明させていただきます。

葬儀への希望はエンディングノートに

突然お亡くなりになり、葬儀についてご自分の希望を家族に事前に話していなかったり、その希望を事前に書類などに遺していなかった場合には、どこでどんな形の葬儀にするのか、遺された家族が決めなければいけません。

入院(入所)先などで亡くなった場合には、医療・介護施設から自宅または霊安室または火葬場へ搬送する手配や、葬儀のプランなどを家族が一から全て考え決めなければなりません。
また、お亡くなりになったことを、親類縁者や故人の友人や知人などへも報告する必要があり、それも非常に大きな負担となってしまいます。

そんな葬儀での家族の負担を少しでも減らすために、ご自身が元気なうちに、葬儀の希望などをエンディングノートへ書き残しておくなどしておきましょう。

エンディングノートに書き残す内容は、次のような内容にするといいでしょう。

  • どんな葬儀にしたいか(仏教なら宗派など、キリスト教式か?神式か?)
  • 葬儀社はどの会社が希望か
  • 葬儀のプランや費用など、詳細をどうしたいのか
  • 誰に参列してもらいたいか。(参列して欲しい方の、氏名・住所・連絡先などを明記。※関係性も明記しておくことが大切です)
  • 遺影で使って欲しい写真があるなら明記しておく

エンディングノートなどに、このような希望を書き示しておくと、遺されたご家族が葬儀の準備の負担を大幅に軽減することが期待できます。

また、最近では、ご自身の葬儀を自ら生前に準備される方も増えているようです。

次に、ご自身で葬儀を準備なさりたい方のために、葬儀の生前準備(契約)についてご説明したいと思います。

葬儀の生前準備(生前契約)について

昨今、ご自身がお亡くなりになったときに、「葬儀のことでご家族に負担を掛けたくない」や、「ご自身が思い描く理想の葬儀をしたい」という考えから、ご自身が元気なうちにご自身で葬儀を契約される生前契約(予約)をされる方が増えております

生前契約(予約)をすることにより、大きく4つのメリットがございます。

1、ご自身の思い描く葬儀が実現できる

埋葬方法、葬儀形式など、葬儀にはさまざまな形式があります。
葬儀の形式(スタイル)や演出などを事前に伝え確認しておくことで、その人らしい心のこもった葬儀を実現することが可能になります。
ご本人やご家族のご希望に沿った葬儀場などをあらかじめ決めておくことも可能ですので、万が一のときも、慌てて選択をするといったことがないく安心です。

2、遺された遺族への負担が軽減できる

葬儀について事前に準備をしていない場合は、お亡くなりになった悲しみや喪失感を感じておられる時に、短期間で非常に多くのことを選択・決定しなければならず、これは遺された家族にとって心身ともに大きな負担となってしまいます。
葬儀について、あらかじめ相談・確認し予約(契約)しておくことで、このような負担を大幅に軽減することができます。

3、葬儀費用の不安が解消される

葬儀は、非常に大切な儀式でありますが、普段の生活の中で接する機会が少ないため、費用についても知る機会もあまりございません。
葬儀会社に事前相談し、ご自身の要望に応じた葬儀内容の見積書を確認することで葬儀費用の目安がわかるので、葬儀費用も計画的に準備することができ費用への不安が解消できます。

4、葬儀をお任せする信頼できる葬儀社が選べます

突然お亡くなりになり、遺族が慌てて葬儀会社を選ぶのでなく、事前に相談することで、各葬儀会社のサービス内容やスタッフの質を知ることが出来るので、安心して葬儀を任せられる葬儀会社選定することが可能となります。

生前契約(予約)をするためには、葬儀社への資料請求斎場見学、葬儀相談を行うなどし、積極的に情報収集をするが大切となります。

なお、葬儀を生前予約し費用を先払いする際は、葬儀会社の倒産などのリスクがありますので、葬儀後に費用を支払うか、もしくは生前契約時に信託会社を利用するのが安心です。

お葬式(葬儀)の準備

1、喪主の決定

喪主は遺族の代表者として、葬儀の様々なことを取りまとめる葬儀の最高責任者の役割を担います。
そのため、故人と最も近い血縁関係にあたる人物がその責務を果たすことになります。
喪主となる方の格付けは、基本的に下記の順番になります。

  • 配偶者
  • 子供(長男→次男、長女→次女)
  • 両親
  • 兄弟姉妹

生前に喪主を決めておき、ご自身の葬儀に関する希望などを確認し伝えておくことが大切です。

2、お亡くなりになられた時に連絡をする方の、リストを作成しましょう

万が一亡くなった時に、連絡する方のリストを作っておくと、遺族が参列者を決める際に便利です。
⇒リストは、「訃報の連絡のみをする方」「参列もご案内もする方」と分けておくと、万が一の時によりスムーズに事を運ぶことが出来ます。

さらに故人との関係性を明記しておくことをおススメします。

3、葬儀の形式(宗教や宗派など)を決めておく

葬儀の準備をされる場合は、どの宗教のどの宗派でするのかをキチンと決めておくことが大切です。

日本人の約90%の人は仏式でお葬式を行いますが、仏式といっても、宗派によりお葬式についての考え方や、しきたりややり方など様々です。
仏式のお葬式の場合、菩提寺がある場合は菩提寺に連絡すればいいのですが、菩提寺がない場合は、どの宗派にするか、僧侶はどの方にお願いするかなど、事前に葬儀会社に相談しておくことをおすすめします。
仏式以外では、キリスト教式、神道式、また無宗教で行う方法もあります。
菩提寺もなく先祖代々の宗派などない方は、葬儀会社のスタッフの中には、宗教や宗派などに精通している人もいるので、相談して決められるのもいいでしょう。

葬儀形式については、「葬儀の形式について」で詳しくご説明しておりますので、こちらもご参照ください。

4、会葬者の人数を予想し、葬儀の規模や予算などを決める

会葬者の人数を予想し、葬儀の規模や予算などを決める

葬儀をどの宗派でおこなうかを決めたら、参列者のリストを目安に、葬儀の規模などを決めましょう。
葬儀の規模を決める場合は、会葬者の予想人数が基準となります。

葬儀会場やホールによって収用人数が変わりますので、会葬者の人数が予測できれば、事前に葬儀会社と打合せし、最良の葬儀会場を選んだり会葬用品の数など決めることができるので、事前に葬儀の見積もりを確認することが可能となります。

最良の葬儀を行うためには、葬儀内容や見積もりの金額、担当者の人柄やご自身との相性などを考慮し、できれば葬儀会社1社だけでなく数社の葬儀プランを比較検討し、ご自身に合った最適な葬儀会社を選ぶことが大切です。

5、葬儀費用の支払い時期や方法などを定める

葬儀の支払い方法は、現金一括での銀行振り込みや手渡しが一般的で、支払い時期は、葬儀終了後、1週間以内となっていることが多いようです。
葬儀業者によっては、クレジットカード払いや、葬儀ローンなどでお支払いできる場合もございます。

生前契約(予約)の場合は、事前に費用を支払っておく方法と、ご本人とご家族(それに準ずる方)との共同契約にして、死後にご家族の方がお支払いいただく方法があるようです。

近年では、葬儀費用に相当する保険金額を一時払い又は月払いで契約し、葬儀費用の支払に充てる生命保険契約もあり、その場合は、ご遺族に保険金がおりた時点で葬儀費用をお支払することになります。

葬儀会社によって、様々な状況に合わせたお支払い方法があるようですので、支払い時期や支払い方法などは、事前に葬儀業者と相談して決めておくと安心です。

なお、生前契約で葬儀費用を前払いなさる際は、万が一の葬儀会社の破綻リスクを回避するために、葬儀信託を利用することをおススメします。
※葬儀信託とは、葬儀費用を銀行などに預けて保全(信託)しておくシステムです。

6、遺影写真などの準備

遺影写真は、葬儀だけでなく、仏壇や故人を偲ぶために部屋に飾るなど、後々まで多くの人が目にすることになります。

遺影写真を事前に準備しておらず、突然お亡くなりになられた場合は、慌てで家族が選んだ写真を、葬儀会社の方がこれも慌てて遺影に仕上げるので、ピントがボケていたり背景から浮いていたりと、どうしても仕上がりが不自然なことが多いです。
そんなことにならないように、自分がまだ元気で輝いていた頃の写真を残すために、遺影用の画像を事前に撮影したりして準備する方が増えております。

ご家族や親しいや人などに撮ってもらうのもいいですし、最近では、ヘアメイク付きの遺影撮影のサービスもありますので、撮影のプロにお願いするのもいいでしょう。

さらに、祭壇に飾って欲しいご自身が好きな花や、葬儀で演奏して欲しい好きな曲など、事前に家族や葬儀会社に伝えておくと、より自分らしいオリジナリティが高い葬儀を行うことが可能となります。

次に、生前予約をされる方のために、葬儀の形式について詳しくご説明いたします

葬儀の種類(形式)について

葬儀の種類(形式)について

葬儀とひとくちに言っても、さまざまな形式があります。
葬儀の目的や参列者の人数や規模などによって、様々な名称で呼ばれております。ここでは、代表的な葬儀の種類についてご説明します。

一般葬

昔から執り行われている、文字通り日本の伝統的な形式のお葬式です。お通夜から葬儀式告別式火葬埋葬の流れで執り行います。
葬儀式は宗教的な意味合いが強い儀式で、告別式は友人や知人が故人と最後のお別れをする社会的な式典です。
「葬儀式」「告別式」は本来は別々のものですが、最近では、「葬儀式・告別式」として一緒に行われることがほとんどとなりました。

一般葬の場合、遺族・親族だけでなく友人や職場の関係者、近隣の住民のほか、新聞のお悔やみ欄などで亡くなられたことを知った故人と縁のある知人など、幅広い人々が参列されます。

社葬・合同葬

法人で、会社の代表者や取締役などが亡くなったときや、功労者や殉職した社員などが亡くなった際などに、企業が主体で行う葬儀のことで、費用は企業側が負担します。
企業と遺族と共同で執り行ったり、複数の企業が施主となる場合は「合同葬」と呼び、費用は遺族と企業側の双方が負担します。

社葬・合同葬は、一般葬に比べ会葬者も多く規模が大きくなるため、準備に時間を要するので、臨終直後に家族中心で密葬を執り行った後に、後日に本葬として社葬が執り行なわれることが一般的のようです。

家族葬

家族葬

近年、核家族化が進に増加傾向にある葬儀の形で、通夜や告別式等の形式に捉われず、家族と親族をはじめ親しかった友人などが故人を偲ぶ葬儀です。
葬儀の規模は、10〜30人程度の参列者で執り行います。

一般葬と同じのことを一通り行いますので、小規模な一般葬とも言えます。
少人数で執り行うため、故人とご家族との想いが反映しやすいという特長があります。

密葬

最近、著名人などの訃報ニュースで、密葬(みっそう)という言葉をよく耳にします。
密葬は、一般会葬者は呼ばずに、ご遺族など本当の近親者だけで執り行う葬儀のことです。
身内を中心に簡単な葬儀と火葬を済ませて、後日、故人が亡くなったことを死亡通知などで知らせるケースが多いようです。

従来は、近親者のみので密葬を執り行い、後日、社葬・合同葬のような「本葬」を正式に執り行うことが前提とされていましたが、近年では、密葬だけでお葬式を済ませるケースも増えてきているようです。

一日葬

本来、葬儀は通夜と葬儀告別式で2つは日程を分けて執り行うものですが、通夜の儀式を簡略化または行わない形が一日葬です。
ご遺族などの近親者のみ少人数で通夜は行わず、葬儀・告別式から火葬までを1日で執り行います。
本来2日間かけて葬儀を行う日程を通夜を省略し1日で行いますので、ご遺族の体力や時間の負担を減らし、費用の軽減もはかれます。

その名の通り1日で葬儀が終わる印象を受けますが、実際には、儀式場に祭壇を飾る場合などは、設営とご遺体の安置は前日に行いますので、準備を含めて日程は2日にまたがることがほとんどです。

直葬(火葬式)

通夜や葬儀、告別式を行わず、火葬だけで終える葬儀です。葬儀会社によって定義が曖昧で、病院などのご逝去先から火葬場に直接移動して行うことを指す場合もあれば、火葬式と呼ばれている場合もあります。人を弔うにあたり最も費用が抑えられるのはこの形になります。

葬儀を行う場所も火葬場の火葬炉の前で執り行われ、参列する方もご家族などの限られた身内の方のみの場合がほとんどです。
葬送の儀式の大半を略してしまうことから、後々苛まれる方や遺族・親族間で摩擦が起きることもありますので、直葬(火葬式)を選ばれる場合は、偲ぶ時間を確保したりお別れの時間をしっかりとったりするなどして、後悔のないように行うことが大切になります。

海洋葬

海洋葬

海洋葬とは、粉末にした故人のご遺骨を海に撒く(海洋散骨)の葬送方法のことで、散骨の形式により、次の3つに分けられます。

「個別(チャーター)散骨」
・一組だけ個別にチャーター船を貸し切り、船長・添乗員と同乗して散骨場所まで行き散骨をする方法です。

「合同散骨」
・2組〜3組のご家族が1つの船に一緒に乗り込んで、船長・添乗員と同乗して、合同で沖合に散骨する方法です。

「代行・委託散骨」
・ご遺族は乗船せずに、海洋での散骨を散骨業者に委託する方法で、委託された散骨業者は、撮影した写真や散骨証明書を散骨後にご遺族に送付します。
最近、死後は自然に還りたいと考える方が増え、需要が高まっている海洋葬ですが、海洋散骨への認知度はまだ低く、法律的にも整っていない部分が多いため、サービス内容や料金体系も業者によって様々ですので、散骨業者選びが大切なポイントとなってきます。

生前葬

通常、自分自身の葬儀に本人が参加することはできませんが、生前葬はその名の通り、自分が生きている間に自分の葬儀を行うとことで、それを可能にした葬儀スタイルです。
ご自身が元気なうちに、お世話になった家族や友人・知人などを招いて、直接ご自分の口から感謝の気持ちやお別れを伝えることができます。

生前葬のメリットは、自分の希望する思い通りの葬儀を行うことができることと、形式にこだわる必要が無いこと、また、時間的制限がないので、しっかり準備ができることです。
デメリットは、生前葬についてまだ認知度が低いということと、実際にお亡くなりになられた場合、再度、火葬・葬儀は行わなければならないので、二度手間になるところです。

お別れの(偲ぶ)会

お別れの会(偲ぶ会)とは、、故人を偲び、別れを告げるために行うセレモニーのことです。
葬儀を家族や親戚を中心で密葬で執りおこなった後に、日を改めて、葬儀に参列してもらえなかった友人や知人に、故人とのお別れをしてもらう場としてお別れの(偲ぶ)会を行うことが多いようです。
お別れ(偲ぶ)会には、特に決まった形式はありませんので、主催者側で自由に式の構成を行うことができます。
また、通常の葬儀と違い、お別れの(偲ぶ)会は、時間的な余裕を持って行うことが多いようです。

葬儀の形式も、需要の変化とともに多種多様となってきました。
葬儀スタイルを決める際は、皆さまの希望を明確するとともに、葬儀会社に色々な葬儀プランを事前に説明してもらい、葬儀内容の詳細を確認しておくことが必要です。
また、ご自身だけでお決めになるのではなく、葬儀についてご家族とも十分ご相談をすることが大切です。