永代供養のお墓を選ぶ際に注意しておきたいこと

墓地・霊園

 少子化と核家族化が進む日本において、終活をされる方がお墓を選ぶ際に、「お墓を継いでくれる人がいない」や「お墓のことで子供や子孫に迷惑を掛けたくない」という理由から、最近、永代供養のお墓を選ばれる方が増えてきております。

 しかし、永代供養のお墓であればどのようなお墓でも良いのかという訳ではありません。
そこで今回は、永代供養をしてくれるお墓選びをする際のポイントと、どのような点に注意すればいいのか?について、解説したいと思います。

 永代供養とは、お墓を管理する承継者がいない場合、身内などに代わって寺院や霊園などがご遺骨を預かり、長い年月(永代)にわたり供養や管理を行ってくれる供養方法(システム)のことです。 

 永代供養のお墓には、個人墓や夫婦墓のように一定期間は個別で供養され、期間経過後に合葬される個別型のお墓と、合葬墓や共同墓のような最初から合祀される合祀型の永代供養墓、そして納骨堂樹木葬など様々な種類に分けられ、さらにその中でもさまざまな形態があります。
 
 永代供養のお墓を決める際に注意しておきたいポイントは下記になります。

ご遺骨の安置方法の確認
 永代供養のお墓の場合、一般のお墓のように最初はご遺骨を個別に安置し、一定の契約期間が過ぎると他の方のご遺骨と合祀されるタイプと、ご遺骨を最初から他の方のご遺骨と一緒に安置される合祀墓タイプのお墓があります。

 最初から合祀されるタイプだと、他の方のご遺骨と一緒になってしまうため、納骨後はご遺骨を取り出すことができないので、事前にどちらのタイプなのか確認することが大切です。

永代供養の期限
 永代供養のお墓の「永代」とは、未来永遠という意味ではありません。
前項で最初は個別にご遺骨を安置するタイプの永代供養のお墓でも、個別での安置は定められた期間のみであり、その期間を過ぎると多くの場合、ご遺骨は他の方のご遺骨と一緒に合葬されることになります。
※期間は、施設によって17回忌~50回忌までと異なりますが、一般的には33回忌までが多いようです。
※事前に、個別に安置される期間を確認しておく必要があります。

立地条件
 永代供養のお墓を選ぶ際は、お墓の立地や交通面を考慮しなければなりません。
費用面や景色が良いからといって郊外の墓所や霊園を選ぶ方もいらっしゃいますが、電車の乗換えが多いや駅から徒歩で30分などアクセスが悪いと、お墓参りに行くこと自体が大きな負担になってしまいます。

 将来ご家族がお墓参りに訪れることを想定し、乗換えの回数や最寄り駅からのアクセス面や電車の本数、車でのお参りを想定し周辺の交通事情や駐車場の有無や規模、霊園などで送迎バスがある場合は、その運行本数や時間帯なども事前に確認しておくことが大切です。

できれば、見学に行く際は、自動車で行くだけではなく、公共交通機関も使って行ってみて、ご自身でアクセス面を確認するといいでしょう。

 あと、墓所や霊園内の勾配や階段についても考慮しましょう。
お墓参りに来る方が皆さん健康な方ばかりではなく、ご高齢者や足腰に不安がある方ですと、勾配がきつかったり階段が多いと参拝が大変ですので、お墓までの道がバリアフリーになっているかなど、参拝者の視点に立ってお墓選びをしましょう。

改葬ができなくなる可能性
 永代供養の合祀型のお墓は、費用は安いのですが、個別の墓が用意されていないので最初の納骨時に、複数の故人のご遺骨と同じスペースにまとめて一緒に合祀されますので、一度、納骨されると、基本的にそこから特定のご遺骨だけ取り出すことはできません。

 それに対し個別型の永代供養のお墓の場合、最初は専用のスペースに納骨されますので、基本的に希望すればその期間中は改葬は可能です。しかし、一定の契約期間が過ぎると個別のスペースからご遺骨は取り出され、他の方のご遺骨と一緒に合祀されるケースが一般的ですので、最終的には特定のご遺骨だけ取り出すことは不可能となります。

 もし、将来的に一般のお墓への改葬(移転)などの可能性がある場合は、永代供養のお墓に納骨される前に慎重に検討することが大切です。
供養期間とともに、その後の供養方法についても理解しておく必要があります。

供養の方法と手厚さ
 永代供養のお墓にする理由として、『お墓の継承者がいなくても供養はお任せできる』という点で選ばれる人が多いと思います。

 永代供養のお墓の場合、供養の内容や頻度はその寺院や霊園によって様々です。
住職が毎日線香を立ててお経を上げて供養してくれる寺院もありますし、お彼岸やお盆の時だけ合同で供養してもらえる霊園もありますので、ご契約前に供養の方法や頻度などの内容について確認しておきましょう。

 なお、合同供養の場合は、「個別で法要をお願いできるか?」や、「可能な場合はどのくらいの費用がかかるか?」なども合わせて確認しておきましょう。

施設内容の確認
 永代供養のお墓がある寺院や霊園は、その規模や施設の内容も運営母体によって様々です。
選ぶ時は、単純に費用や大小などの規模だけでなく、「納骨される場所はどうなっているのか?」や「法要ができる場所は備わっているのか」などの施設の内容や付帯設備を確認した上で判断することが大切です。
※公営・民営霊園では法要施設か無い可能性もあります。
※トイレの数やバリアフリー設計になっているかなどの確認も忘れずに。

お供え物などのルール

 永代供養のお墓は、施設や形態によってお供え物のルールもさまざまです。
特に、宗旨・宗派を問わずいろいろな宗教や宗派を受け入れている施設の場合、お墓参りの作法に配慮している施設はすくなくありません。

供花台が設置されていても、花を供える際は生花でなく造花のみに制限している場合が多いようです。飲食物をお供えする場合は、基本的には持ち帰ることがルールとなっているところがほとんどです。

 施設によっては、線香や供え物ができない場合もありますので、あらかじめ施設の規約内容をしっかり確認する必要があります。

家族や親族からのご理解
 永代供養の墓は従来の一般のお墓と異なる点が多々あります。
一般的な先祖代々のお墓に慣れ親しんだ人々にとっては、永代供養の墓の形態や供養方法など受け入れがたい部分があるかもしれません。

将来、ご家族や親族の間でトラブルにならないためにも、事前にしっかり話しをして理解を得ておくことが重要です。

 永代供養と言っても、お墓のタイプは永代供養墓や納骨堂、樹木葬など様々な種類があります。
また、永代供養のお墓は最終的に合祀される場合が多く、お墓参りのルールを細かく規定されております。

 永代供養のお墓のご購入をお考えの方は、ご自身の足で現地に出向き施設の設備や管理状態をご自身の目でチェックするとともに、契約内容や利用規約についても十分に確認した上で、ご自身の希望に合ったお墓を選ぶことが大切です。

 今回は、「永代供養のお墓を選ぶ際に注意しておきたいこと」についてご紹介させていただきました。
終活の一環として皆さまがお墓を選ぶ際に、ご参考にしていただけると幸いです。
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