公営霊園のメリットとデメリットについて

墓地・霊園

 前回の「寺院墓地のメリット・デメリットに引き続き、今回は「公営霊園のメリットとデメリットについて解説したいと思います。

 「公営霊園」とは、都道府県や市町村などの地方自治体が運営・管理している霊園(墓地)のことです。

 公営霊園は、公営ならではの利用料の安さと安心感などから希望する方が多数のため、利用するためには抽選となる場合が多いようです。

そのような人気の公営霊園には、下記に挙げられるような多くのメリットがあります。 

〔公営墓地のメリット〕
メリット1、費用が安い
 公営のため、民間が運営している寺院墓地や民営霊園と同じ条件のお墓を比べると、永代使用料や年間管理料が比較的安く設定されてることが多いです。

メリット2、安心感があります
 公営墓地(霊園)は自治体の運営ですので、民間が運営している寺院墓地や民営霊園などと比べ、倒産や廃寺などの心配がほとんどなく永続性がありますので、将来に対して大きな安心感があります。 

メリット3、宗教・宗旨・宗派が不問です
 公営なので、基本的に宗旨や宗派などの宗教的な規制はございません。

メリット4、自由に石材店を選べます
 寺院墓地や民営霊園では、指定された石材店でしかお墓を建てることができないことが多いのに対し、公営霊園ではそういう制限がなく石材店を自由に選べるので、複数の石材店から相見積もりを取って比較検討することで、安くて良い墓石を選ぶことが可能となります。
また、寺院墓地や民営霊園に比べ、墓石の形(デザイン)についての制約が比較的少なく自由度が高いです。

メリット5、一区画の敷地が広い
 基本的に、寺院墓地と民営霊園と比べ、公営霊園は一区画の面積が広いところが多いので開放感があります。

逆に、公営墓地のデメリットは下記の点になります。

〔公営墓地のデメリット〕
デメリット1、申込みするには応募条件がある
 基本的に、誰でも利用できる寺院墓地や民営霊園と違い、多くの場合、公営霊園の利用できる人は「その霊園を運営している自治体に一定期間継続して居住している人に限定されている」など、自治体によって申込みする際の応募資格が決められています。

デメリット2、応募期間が限られている
 いつでも購入が可能な寺院墓地や民営霊園と異なり、多くの公営霊園は購入には申込みが必要となり、その応募期間が不定期であったり限定されております。
また、新規区画がなく返還墓地が無い場合は、状況によってはその年度は募集が行われないということもあります。

デメリット3、抽選になる場合があります
 民営墓地の場合、申込みの先着順で区画を選ぶことができますが、公営霊園の場合は、購入希望の申込者が多数になった場合は抽選となり、抽選に外れると利用(購入)することができません。
※都立霊園の2018年の倍率は、最も応募倍率の高い区画が35.1倍、平均倍率が5.2倍でした。 

デメリット4、希望する場所(区画)が選べません
 公営霊園の場合、募集区画が限定されていることが多く、抽選に当選した場合でも、自由に好きな場所(区画)を選ぶことはできない公営霊園が多いようです。
場合によっては、希望する場所(区画)でなかったために、折角当選しても利用を辞退する方もいるようです。

デメリット5、生前建墓(寿陵)ができません
 公営霊園の場合、申込みの条件の中に「手元にご遺骨があることが必須」となっていることが多いので、民営霊園のように生前にお墓を建てる生前建墓(寿陵)することができません。
 なお、お墓の継承者を必要としない合葬式の墓域は、生前の申し込みが可能となっているようです。
 また、使用許可から一定期間以内にお墓の建立をしなければならないなどの条件がある場合もあります。

 公営霊園は安心&安いというイメージから人気が高くなっております。しかし、公営霊園は区画面積が広いものが多いため、1平米に対する永代使用料は民営霊園より安くても使用する区画面積が広いため、結果的に総額はそれほど変わらないということも多々あります。
また、面積が広いため墓石も大きくなりますので、墓石代金も高額になる場合がありますので注意が必要です。

 公営霊園は自治体が運営しているため、自治体ごとに厳密な規定があり、抽選は通過しても資格条件を満たしておらず残念ながら失格となるケースも少なからずあるようです。
そうならないためにも、公営霊園へ申し込みの際には、細かな条件面の部分までしっかりとチェックしておくことが重要です。

 今回は、「公営霊園のメリットとデメリット」について解説させていただきました。
皆さまが終活をすすめていく上でお墓選びをされる際に、ご参考にしていただけると幸いです。

 次回は「民営霊園のメリットとデメリット」について解説したいと思います。
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