葬儀の生前予約(生前契約)で注意するべき点

葬儀

 終活がブームとなったことで、自分生きている間にご自身の葬儀について「葬儀の生前予約」を考える方も増えているようです。

 そこで今回は、「葬儀の生前予約(生前契約)」をする際に、注意しておきたい事について解説したいと思います。

 葬儀の生前予約とは、ご本人がまだ元気なうちに、葬儀をあげてもらうご本人もしくはご家族が事前に葬儀を予約することを言い、生前予約で実際に申込や支払い等の契約まですることを「生前契約」といいます。

 葬儀を生前予約しておくことで、本人が希望する内容で葬儀をすることができますし、遺されるご家族の葬儀にかかる負担を大幅に軽減することができます。
また、時間が限られているわけではないので、葬儀の内容や費用面など数社で比較したり、じっくり検討することが可能となります。

 メリットが多い葬儀の生前予約ですが、もし「生前予約」される場合は、次にような点に注意してください。

生前予約(契約)の期限や更新について確認しましょう
 お葬式の生前予約(契約)には、契約期限があり、もし期限を過ぎた場合には再度契約が必要なタイプのものや、半年もしくは数年ごとに生前契約の見直しや更新の手続きが必要になるタイプのものなど、様々なタイプの契約スタイルがありますので、生前契約をする際は、期限や更新について必ず忘れずに確認することが大切です。
もし、生前契約後の期限や更新などについて、何の説明も無いような生前契約は危険ですので注意してください。

 なお、生前契約の定期的な見直しや更新は、確かに手間だと感じるかも知れませんが、最終的に納得のいくお葬式を行うために必要なことですので、生前契約後の更新や見直し制度がちゃんと整っている葬儀会社を選びましょう。

生前予約の変更や解約は可能か要確認
 葬儀の生前予約は、「〇年□月△日にお葬式をするので予約します。」という形で予約するものではありません。
生前予約(契約)をした日から、実際にお葬式を執り行うまでにかなり長い年月が過ぎる場合もあります。

 葬儀のスタイルも年月とともに様変わりしてきますし、参列者の人数なども増減することがあり、生前予約(契約)後に、もっと良い葬儀プランが出た場合や、お葬式の形や規模を変更したくなった場合には、生前予約で契約した内容が変更できるかなどを、葬儀会社に事前に確認しておくことが大切です。

 また、諸事情により生前契約をキャンセルした場合は、返金条件等の規定はどうなっているかなど、詳細部分についても確認しておくことが重要です。

家族や近親者の理解を得ておきましょう
 葬儀の生前予約は、遺される家族や親族の葬儀の負担を減らすために行いますが、もしご家族がそのこと(生前予約)自体を知らなければ全く意味がありません。
また、本人(故人)の希望のみを葬儀社に伝え、葬儀の生前予約(契約)をされた場合、生前契約の内容をご家族が知らないと、実際に行われた葬儀が故人が希望した内容通りなのか、判断できない場合があります。

 さらに、故人が希望した生前予約の契約内容がご遺族の希望と大きく違う場合は、実際に葬儀を行う際にトラブルに発展する可能性があります。
そうならないためにも、本人が葬儀の生前予約(契約)をされる場合は、ご家族と十分にご相談の上、ご本人の希望と契約内容を共有しておくことが大切です。

費用の支払いは葬儀信託を利用しましょう
 生前予約(契約)した後に、もし契約した葬儀社が倒産してしまうと費用が戻ってこない場合があります。
そのようなことを防ぐために、「葬儀信託」というシステムを利用されることをおススメします。

 「葬儀信託」とは「葬祭信託」とも呼ばれ、ご自身の葬儀費用を銀行などの金融機関に預ける信託のことです。
ご自身が亡くなると、生前予約(契約)通りの葬儀が行われ、葬儀費用を銀行に預けたお金で自動的に支払ってくれるシステムです。

 葬儀信託は、葬儀社が倒産した時でも、葬儀費用は信託会社が保全してくれるので、全額お金が戻ってきます。
また、葬儀信託はあくまでも葬儀のための信託ですので、相続分割協議前でも口座は凍結せずに葬儀費用の支払いができます。

 なお、葬儀信託を利用する場合、契約時に葬儀代金とは別に、手数料を信託会社と、専門家(司法書士等)に支払う必要がありますが、葬儀費用の保全のためには、葬儀の生前予約(契約)をされる場合には、葬儀信託を扱っている葬儀社を選ぶと良いかもしれません。

 ご家族や親族の人の中には、葬儀の生前予約について「生前に葬儀を予約するなど縁起が悪い」と反対される方もおられるかも知れませんが、生前予約はご家族の負担を大幅に軽減できることと、ご自身が希望するより良い葬儀が行えることを伝えて、前に理解を得ておくことが大切です。

 今回は、「葬儀の生前予約(契約)をする際に注意しておくべき点」について解説させていただきました。
皆さまが終活の一環として、葬儀を生前予約される際に、ご参考にしていただけると幸いです。
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