お墓の永代使用権と永代使用料について

墓地・霊園

 基本的に、「お墓を買う」ということは、墓石が立っている土地を買取る(所有する)のではなく、「墓地の永代使用権を取得すること」ですので、普通の住宅用の土地を取得すること同じように、墓地となる土地の所有権を買い取ることはできません

そこで、霊園・墓地の運営主体と墓地を永久に使用できるよう、墓所使用契約を締結し墓地を永代で使用できる使用権を取得します。

 なお、先日もご説明いたしましたが、この場合の「永代」とは、永久や永遠ということではなく、代がある限りという有期限のことを意味します。

 簡単に説明すると、「永代使用権」とは、使用権を購入した使用者が、途絶えず代々受け継がれ墓地を永代で使用できる権利であり、墓石を建てるための土地を買ったという事ではありません

 なお、永代使用権は、永代使用料を払い借地に自費でお墓を建てられますが、土地はあくまでも借りているものなので、使用する人が管理できなくなれば使用権は消滅(無償返還)となるのが一般的です。

 また、永代使用権はあくまでも墓地として使用するための契約なので、墓地以外の目的で使うことはできません。
さらに、永代使用権や土地(墓地)は、転貸や転売することも禁止されて
います。

 永代使用料は、その墓地や霊園によって異なり、お墓を建立する時に最初にまとめて支払います。
相場は一概に言えませんが、全国平均でおよそ60万円~80万円程度と言われています。

 都市部で言うと、東京都23区で約160万円~200万円程度、23区外で約40万円~100万円程度、神奈川県で約40万円~80万円程度、埼玉県で約30万円~60万円程度、千葉県で約20万円~50万円程度といったところです。

 普通の土地購入と同じで、都心は高く郊外に行くほど安くなり、交通の便の良いところや広い区画は当たり前に高くなります。

 また、駐車場やトイレ、休憩所、売店・法要会場といった設備の充実度などによっても、相場が大きく変動します。
永代使用権は、承継者(子どもや孫など)に受け継ぐことができ、権利を受け継ぐ時は新たな使用料はかかりません。

 永代使用権を購入すると、最初に一度だけ支払う永代使用料の他に、毎年一定の額の管理料を支払う必要があります。

管理料とはその字の通り、墓地全体の維持・管理に必要なお金のことで、墓地の通路や休憩所の清掃や花壇の手入れ、共有スペースの維持管理費用、水道料金や電気代などに充てられます。

管理料ではなく護寺会費(寺院の維持管理費)ということもあります。

 管理料の都市部の相場は、公営墓地で年間で千円~数千円程度、民営墓地なら年間1万~2万円程度となっております。
基本的に、1年分をまとめて支払うところが多いようですが、墓地によっては数年分をまとめて支払うように定めているところもありますので、事前の確認が必要です。

 なお、この管理料の支払いが滞ると、その墓所を使用する権利が失われる可能性がありますので、くれぐれも滞納しないよう注意が必要です。

 立地条件の良い場所などにある墓地や霊園などでは、お求めやすい人気の高い区画はすぐに決まってしまうので、もし気に入った場所があるようでしたら、一度見学に行ってみてはいかがでしょうか?

 今回は、お墓の「永代使用権と永代使用料」についてご紹介させていただきました。
皆さまの終活にお役立ていただけると幸いです。
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