遺書と遺言書の違いについて

遺言・相続

 「遺書」「遺言書」は、どちらも生前に故人がご家族や大切な人のために書き残すもので、言葉は似ておりますが、内容や意味合いは異なります。
そこで今回は、「遺書と遺言書」の違いについて、解説したいと思います。

 『遺書』とは、亡くなる方が、「死ぬこと」や「亡くなる」ことを前提に考えて、家族や関係者に託すために、自分の気持ちを書き残す文書や手紙のことです。
英文では、「farewell letter」や「note」と言われているものです。

書き残す内容は、故人のそれまでの人生を振り返り、愛する家族やお世話になった人への感謝の気持ちやお別れの言葉などを記載したり、死を目の前にして気持ちの整理がつかない思いの丈をそのまま記載したりなど、主にプライベートな内容のことが多くなります。
文書の形式に定められたものはなく、手紙や走り書きのような形態のものもあります。

 『遺言書』は、亡くなる方が、「亡くなった後」のことを考えて、相続遺産の分与方法ほかを記載した法的に効力をもつ書類のことを言います。
遺言書の内容により、相続遺産を受け取る金額や人物が決まってしまうなど、法律上の効力が発生する厳格なものです。
書式は、民法の中で具体的な様式や書くべき内容などについて細かに決まりごとが設けられています。

遺書と遺言書の大きな違いは、書式です。

 「遺書」は、元来、法律的な効力を求められていないので、文書の形式に定められたものはなく、亡くなる前に自分の気持ちなどを家族・友人に手紙や走り書きのように書き記したものです。(英語では「note」や「letter」です)

 「遺言書」は、財産問題や相続についての取り決めなど正式に文書を残すために、法的に効力がある方法で、厳格に定められた正式な書式にて書き残す必要があります。(英語で「will」です)
遺言者(亡くなった方)本人が書いたものだと立証されても、所定の要件を満たしていなければ、遺言書の内容は法律的には無効になります。

 遺書は、単純にご家族や大切な人にご自身の気持ちを伝えるために用い、財産問題などで遺されたご家族が争わないようにするためや法的に有効にしたいことがある時には、「遺書」ではなく「遺言書」を書き残しておくことをおススメします。 

 なお、書き残す書面は、「遺書」か「遺言書」のどちらか一つだけにしなくてはならないわけではありません。
遺産の相続などについては、法的に有効な遺言書をしっかりと作成しておき、家族やお世話になった人達に伝えたい気持ちは、個別に遺書として残しておくと良いでしょう。

 今回は、「遺書」と「遺言書」の違いについて解説させていただきました。
皆さまの終活のお役に立てましたら幸いです。
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