合祀墓についてお教えします

墓地・霊園

 最近、永代供養のお墓の需要が増え、「合祀墓(ごうしぼ)」という言葉を耳にする機会が多くなりましたが、この「合祀墓」とは、どのようなお墓のことなのか明確にお分かりの方は多くないと思います。
 そこで今回は、この「合祀墓」とはどのようなお墓のことなのかについて、解説させていただきます。

 通常、「お墓」というと『代々家族(一族)ごとに葬られている』というイメージがある方が多いと思います。
それに対し、「合祀墓」とは、『ご家族(一族)に限らず、血縁関係の無い複数の他人の方と一緒に一ヶ所に合同で葬られる』お墓(施設)のことをいい、一般的な名称としては「永代供養墓」や「共同墓」と呼ばれることが多いようです。

 合祀墓の始まりは平安時代からといわれており、合祀墓として古くから知られているのは、先日ご紹介した「本山納骨」です。
一般的に合祀墓が認知されて利用され始めたのは約30年くらい前で、2000年に「墓地、埋葬等に関する法律」が改正され、改葬手続きが簡略化されたことにより、合祀墓がに普及していきました。

 一般的なお墓の場合、故人のご遺骨は一人一つの骨壷に個別に納骨されますが、合祀墓は、故人のご遺骨は骨壷から取り出して、直接ご遺骨を合祀墓に納骨する形になりますので、すでに祀られている他の人のご遺骨と一緒に混ざってしまうため、一旦合祀されると、以後は特定の人のご遺骨を選んで取り出すことが出来なくなるので注意が必要となります。

 合祀墓に納骨した後は、供養や管理は寺院(施設)がおこなってくれます。
供養の回数は寺院(施設)ごとに異なってきますが、春秋の彼岸とお盆に年3回おこなってくれるところもあれば、月に1回おこなってくれるところもあるようです。

 合葬墓の費用の相場は、 経営母体により大きく異なり、5万円のところもあれば100万円程度かかるところもあります。
費用の差は、 公営なのか民営なのかや、立地や施設の質の違いや墓石などの大きさや作りの違い、読経などの供養の手厚さや頻度により寺院や施設によって異なるようです。

 なお、最初に支払う費用以外にも、年間の管理料等の維持費がかかる場合がありますので、事前に確認する必要があります。

 葬墓のメリットとして、主に下記の点が挙げられます。

お墓の負担を大幅に軽減できます。
 葬墓は基本的に、ご遺骨の管理や供養はお寺や霊園の方が責任をもってしっかり行ってくれますので、遺されたご家族へのお墓の負担を大幅に軽減することができますし、お墓の継承者がいない方でも、供養の心配は必要ありません。

費用が抑えられます
 一般的なお墓と違い、個別にお墓を建ててご遺骨を個別で供養するわけではないので、費用を安く抑えることができます。
また、納骨後に会費などの費用の負担の無い合葬墓を選べば、遺された家族への費用の負担を軽減することができます。

お墓参りをすることができる
 ご遺族の方が手を合わせる礼拝の対象物として、墓碑や石塔が建てられていることがほとんどなので、お墓参りをすることもできます。

 逆に、下記の点がデメリットとして挙げられます。

他の人と一緒に同じ場所に埋葬されてしまう
 合葬墓の最大の特徴でありますが、デメリットとして挙げられるのが「同じ場所に他人のご遺骨と一緒に埋葬される」という点です。
「他の人と一緒に埋葬されるので寂しくない」という方もおられますが、やはり「他の人と同じ場所でご遺骨が混ざる」ことに抵抗感を抱く方が大勢いらっしゃいます。

後でご遺骨が取り出せない
 もう一つ大きなデメリットは、「埋葬した後はご遺骨の取り出しができない」という点です。
骨壺ごとにご遺骨を分別して埋葬する場合もありますが、ほとんどの合葬墓は、ご遺骨を骨壺から取り出して他の人のご遺骨が埋葬されている場所にご遺骨を混ぜ合わせて埋葬されるケースの方が多いです。

そのため、埋葬した後はご遺骨が混ぜ合わされるため 特定の人間の遺骨を取り出すことはできません。

 合葬墓は、他のお墓(埋葬方法)に比べて、「費用が安く抑えられる」点と、「遺されたご家族へのお墓の負担が小さいこと」などのメリットがありますが、血縁者以外の他人と一緒に共同で1つの墓地に埋葬されるため、一度埋葬されると合葬後はご遺骨が取り出せないので、ご利用を検討される際は、ご家族としっかりご相談した上で、埋葬方法を選択することが大切です。

 今回は、「合葬墓」について解説させていただきました。
皆さまが終活をすすめる際に、ご参考にしていただけると幸いです。
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