生前整理をする際に注意しておきたいこと

終活全般

 故人が亡くなった後に、遺族が遺品を整理する「遺品整理」に対し、生前にご自身の身の周りの持ち物や財産などを整理(断捨離)することを「生前整理」といいます。

 最近の終活ブームにより、この「生前整理」をされる方が増えております。
以前にも、当サイトで「生前整理について」解説させていただきましたが、生前整理のやり方に決まった方法など定められておりまらず個人によって様々ですが、どなたにも共通する生前整理を行う際の注意しておきたいことや問題点がございます。

 そこで今回は「生前整理をする際に注意しなければならないことや問題点」に着目し、解説したいと思います。

 「生前整理」とは、自分が他界した後に遺された方(ご家族など)が、相続問題や自宅問題などで困ったり争ったりしないように、終活の一環として生前中に財産や住空間などで不要なものを整理することを言います。

生前整理を行うことで、主に下記のようなメリットが得られます
■遺されたご家族の遺品整理の負担軽減が出来る
■遺された家族の遺産相続争いを回避できる
■不要な身の周りのものを処分することでシンプルで快適な暮らしができます
■身の回りの物を整理・処分することで、自分の人生を振り返り、残された人生でしておきたい事が明確になってきます。


 このように、生前整理をすることは多くのメリットがありますが、行う際には下記の点に注意が必要です。

1、物が捨てられず整理が進まない
 生前整理をする際に、最もありがちなのが、整理しなければならないことは分かっているが、物を処分できず整理が全く進まないことです。
思い出が詰まった品物を捨てることができなかったり、子どものころから「物はできるだけ大事にし、使えるものは捨てないようする」と教育を受けた人は、頭では「捨てなくては」と理解していても、なかなか捨てるとことができず、全く整理が進まないということがあります。

 どうしても物を整理できない場合には、自分主体で考えのではなく、遺される家族の負担の軽減とトラブル回避に重点を置き整理すると、躊躇なく捨てることができるようになります。
また、ご自身の服や服飾品などを整理する際は、『2年使ってないものは処分する』というような明確な基準を設けて割り切って断捨離しましょう。

2、体力と気力が必要となります
 生前整理は、タンスや本棚、家の中のものなど処分するものが多いと、時間や体力・労力もかかってしまい、体力が低下している高齢者には大きな負担となります。
処分するものが多すぎて体力・気力的に疲れてしまい、生前整理を途中で止めるケースも少なくありません。

 そうならないためには、生前整理は出来るだけ体力のあるうちに早めに行うか、焦らず時間をゆっくりかけて行うことをおススメします。

3、整理したものの詳細や所在が分からなくなる
 生前整理で整理したものは、目録などでしっかり管理しないと、あとでどこに何をしまったのか分からなくなることがあります。
また、目録を作成した場合の保管場所は、盗難に遭わないように注意が必要です。

 もし、目録を作成する際は、財産関係の詳細(例えば銀行の印鑑の保管場所についてやキャッシュカードの暗証番号など)については、目録に記載しておくと、万が一盗難に遭った時に財産を失うことになりかねませんので、本当に大事な情報は目録に残さずに、別の方法で目録とは別々の場所に保管するようにしましょう。

 なお、目録の保管場所を厳格に秘密にし過ぎて、目録の保管場所やその存在自体をご家族に知らせておかないと、もし急にお亡くなりになった場合に、ご家族が遺品の整理に困ることになりますので、ご家族だけには生前に知らせておくことが大切です。

4、悪徳の「生前整理会社」に注意しましょう
 『生前整理』の作業はおひとりやご夫婦でされる方が多いようですが、ご家族に協力してもらうか専門の業者に頼むとスムーズに整理することができます。

 しかし、終活ブームが盛んになった昨今、適当な作業をしたり、生前整理の代金を高額な料金で不当請求したり、高価な品を安値で買い取る悪徳業者が見かけられるようになり、悪徳業者と知らずに生前整理を依頼してしまい、被害に遭ったという高齢者が増えているようです。

 そうならないために、業者に依頼するときは、豊かな経験としっかりとしたノウハウを持っている、「古物商」や「産業廃棄物収集運搬許可」などを取得している信頼できる会社に頼むことが大切です。

 生前整理は、いつまでに終わらせなければならないという期限はありません。
上記のような点に注意して、ご夫婦・ご家族と協力しながら、体力・気力があるうちに、あせらずゆっくりと時間をかけて少しずつ始めてはいかがでしょうか。

 今回は、「生前整理をする際に注意しておきたいこと」について解説させていただきました。
皆さまの終活を進める際に、お役立ていただけると幸いです。
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