直葬

直葬

「直葬」とは、お亡くなりになり24時間ご遺体を安置した後に、通夜や葬儀告別式を行わず、逝去先からご火葬場へ直接搬送しご火葬のみを行う葬儀形式のことです。

火葬のみ行うことから「火葬式」と呼ばれることもあります。

日本人の宗教観が変化し『仏教離れ』の人が増えてきている背景のなか、核家族化が進みご近所との付き合いが減少していることや、葬儀の費用を抑えたいという経済的な理由などで、この「直葬」と呼ばれる形式の葬儀を選ばれる方が、主に都市部で多くなっています。

「直葬」は、ご自宅や病院、介護施設などで亡くなった後に、法律上お亡くなりになった後、24時間は火葬がおこなえないと定められているためにご遺体を安置した後、ご逝去先からご火葬場へ直接搬送し、通夜や葬儀告別式を行わずご火葬のみを行う、最もシンプルな葬儀形式になります。

参列するのはほぼご遺族(家族や親族)や親しい友人のみで、僧侶は呼ばない場合が多いですが、出棺前や火葬炉の前に読経や祈祷などの簡易的なお別れの儀式を行うことがあります。

直葬が行われる時間は、火葬場が空いている時間です。
地域や場所にもよりますが、火葬場は朝9時頃から17時頃まで営業しているところがほとんどですので、直葬もその時間内に行われます。

ご逝去から直葬の流れは、主に下記のようになります。

直葬の流れ

1、葬儀社へ連絡
ご逝去しましたら、最初に葬儀社に連絡をしましょう。
事前に決めている葬儀社が無い場合は、病院が紹介してもらうことも可能です。
病院で「死亡診断書」と「死亡届の用紙」をもらい、役所に提出し、手続きが終わると「火葬許可証」を受け取り。火葬場の予約をします。
なお、死亡届の提出や火葬場の予約などの諸手続きは葬儀社が代行してくれます。
2、ご遺体の安置先の決定・搬送
法律上、逝去後24時間は、ご遺体を安置をしなければならないため、連絡してお迎えに来た葬儀社と話し合い安置先を決定し、ご遺体を搬送します。
従来は、ご自宅にご遺体を安置する方も多かったのですが、直葬の場合は、火葬場の安置施設を利用することが多いようです。
希望であれば、葬儀社がご遺体を預かってもらうことも可能のようです。
3、納棺・出棺
お亡くなりになった翌日、安置の時間を終えた故人を仏衣で包み旅立ちの身支度を整え、棺へ納めます(納棺の儀式)。
納棺の儀は、葬儀社のスタッフが行ってくれますが、家族が立ち会い納棺の手伝いをすることもできます。
納棺の儀が終了したら、火葬場に向けて出棺が行われます。

時間の目安としては、納棺の儀をしっかり執り行ったとしても、納棺から出棺までは1時間程度です。
4、火葬
出棺が終わると火葬場へ移動して火葬になります。
火葬に立ち会いする人は火葬場に集まります。
火葬の前に、最期のお別れを行います。
※希望であれば、僧侶の5分程度の読経も可能です。

最期のお別れが終わると、ご遺体は火葬されます。
火葬の所要時間は、45分から2時間程度です。
火葬している間、ご遺族は火葬が終わまで控え室で待機します。
5、お骨上げ(拾骨)
火葬が終わると、ご遺骨を2人一組で箸を持って拾う骨上げという作業をして、ご遺骨を骨壷に納めます。

お骨上げをすると、直葬(火葬式)の全ての行程が終了となります。

「直葬」は、一般の葬儀で行う、通夜・葬儀・告別式を行いませんので、宗教的儀式にかかる費用や、会場費・返礼品、食事などの参列者へのおもてなしの費用が必要ないため、葬儀費用を大幅に抑えることができます。
※一般的な葬儀の費用平均「200万円」に対し、直葬の費用平均は「20万円程度」が相場です。

また、一般的な葬儀のように、通夜・告別式と二日間執り行わず、およそ半日で終えることができるため、日程的な負担も大幅に軽減することができます。

さらに、「直葬」はご家族やごく親しい友人のみで行うため、一般の葬儀で必要な参列者への挨拶や受付係の手配などの参列者への対応が不要であることと、基本的に香典をいただくことがあまりないので香典返しをする必要もなくなります。

最近、葬儀費用を抑えることが出来ることと、日程の短縮や葬儀の準備の負担が軽減することから、葬儀を「直葬」にされる方が増えているようですが、通夜や告別式を行わないため、どうしても一般の葬儀に比べお別れの時間が短くなってしまうため、十分なお別れが出来ず、心残りなく見送った実感が持てずに、後で後悔することになったりする方も少なくないようです。
また、故人と親しかった親族以外の方から「お別れをしたいのにできなかった」などという不満が出る可能性もあります。

菩提寺がある方は、「直葬」はその菩提寺とは関係のない儀式となってしまうため、菩提寺の僧侶が戒名をつけてくれなかったり納骨を拒否されることが多いようですので、菩提寺に納骨を希望される場合は、事前に菩提寺には「直葬にするので葬儀は行わない」旨をあらかじめ説明し、了承をいただいておくことも大切です。