祭祀承継者

「祭祀承継者」とは、系譜や祭具及び墳墓といった代々受け継がれている「祭祀財産」やご遺骨などの管理を承継し、祖先の祭祀を主宰するべき者のことを意味します。

祭祀承継者

「祭祀承継者」の役割は、祭祀財産を管理したり、祖先のお墓を維持し定期的に法要を開催したり、ご先祖様の供養を中心に行っていきます。
具体的な役割については、次に挙げる事柄を主に執り行います。

《祭祀承継者の役割》

【お墓の維持・管理】

墓地や霊園の管理者に対して承継手続きを行ったあと、霊園や墓地に対して年間管理料の支払いや、お墓の維持や管理などを行っていきます。

【仏壇の維持・管理】

祭祀承継者の自宅の中に仏壇を置いて祀ります。
毎日の礼拝供養と、毎年のお盆や年忌法要などの寺院の対応も行わなければなりません。

【法要の執り行い】

一周忌や三回忌などの年忌法要を主催します。寺社とのやりとり、日程や場所の決定、参列する親戚や関係者への連絡、お供え物やお花の準備、法要後の食事の席や引き物の準備などをする必要があります。

【檀家としての務め】

定期的に開催されている法要や行事への参加や奉仕作業、本堂などの建物の修繕にともなう金銭的な援助などを行っておきます。

祭祀承継者が亡くなると、次の祭祀承継者を決めます。

《祭祀承継者を決める方法》

祭祀承継者は、「被相続人(前の祭祀承継者)の指定」、「慣習」、「家庭裁判所」の順位で決められます。

被相続人による指定がない場合は、その地域や親族内の慣習(話し合い)によって決められ引き継がれます。

従来は、日本のほとんどの地域で、先祖代々の土地等の家督を相続する長男が祭祀承継者となり、お墓や仏壇も引き継ぐ慣習がありました。
現代では、多くの地域で、祭祀承継者に関する慣習は残っておらず、が家督を相続する制度もなく、親族の合意があれば、長男に限らず次男や他家に嫁いだ娘や親族でない人など、誰が祭祀承継者になっても構いません。

なお、被相続人による祭祀承継者の指定がなく、親族間による話し合いでも決まらなかった場合は、家庭裁判所にその判断が委ねられます。



また、祭祀承継者は、指定された場合は拒否することはできませんが、祭祀承継者としてやらなければならないことが明確に法律で定められているわけではないので、自分ができる範囲内で祭祀の維持管理をしていけば問題はありません。